四十肩・五十肩の対処法
はじめに
四十代以上の人が「肩を動かすと痛い」「じっとしていても痛い」という症状が起きた場合、最初に四十肩・五十肩を疑いやすいのですが、それらの症状は四十肩・五十肩の特有な症状ではありません。肩に問題がある時に必ず起きるものであるため、それだけでは判断できないのです。
また、四十肩・五十肩は慢性疾患なので肩が痛くなってから間もないものを四十肩・五十肩とは言いません。数日後から軽減し始めて1ヶ月もあれば元に戻る一般的な肩の痛みと違い、四十肩・五十肩の場合は1ヶ月経過しても全く良くならないもしくは悪化していくというのが目安になります。
そのため肩に痛みが出てきた時は最初に他の疾患を疑い、他の疾患の疑いが晴れた場合に初めて四十肩・五十肩を疑うのが基本なのです。
症状
四十肩・五十肩の症状を2つに分類して考えていくと自分の置かれている状況とその対策が見えてきます。
じっとしていても痛い
四十肩・五十肩の前半の訴えは「じっとしていても痛い」ことで、特に就寝時は痛みのために眠りが妨げられてしまいます。
この「じっとしていても痛い」の多くは炎症によるものですが、炎症は傷ついた部分を修復するために起きるもの。捻挫などのように捻って肩を痛めた時はこの症状が出ることが多く、傷ついた部分が修復される数日後には炎症が落ち着き痛みも治まるのですが、四十肩・五十肩の場合は炎症が数日経過しても治まらず「じっとしていても痛い」状態が続きます。
これが典型的な四十肩・五十肩の一つの目安で、炎症が長引くほど痛み以外にも肩周囲が固まってしまい腕が挙がらなくなるという結果になります。
対策
四十肩・五十肩のメインは炎症。先程も書いたように基本的には炎症は数日で軽減していくものなのですが四十肩・五十肩の場合は長引きます。これを速やかに抑えることができれば肩の痛みも肩が固まることも少なくて済むのですがこれといった抑える方法はありません。出来ることは炎症に伴う痛みを軽減させることだけで、痛みを抑えて時間を稼いでいる間に自然に炎症が収束するのを待つことが対処法になります。
炎症は自然に数日で治まることを前提に治療を進めている我々のような手技療法は炎症そのものを抑えることは出来ません。そのため四十肩・五十肩のように炎症が長引いてしまうものに関しては最初に行くのは病院で当院のようなところは補助として利用するようにしてください。
肩が挙がらない
じっとしていても痛い状態が終わると次は肩が固まって挙がらないことが一番の訴えになります。
四十肩・五十肩の場合は炎症が長引くほど筋肉は元の状態に戻りにくくなると言われており、日常生活に不自由しない位までに戻ることですら時間がかかります。
対策
四十肩・五十肩は肩だけの問題ではなく全身の問題で起きています。逆に長期に渡って日常生活に支障が出るために全身にも影響が現れます。そのため肩だけの治療ではなく整体治療や鍼灸気功治療全身の治療を行う必要があり、セルフケアも肩だけではなく全身のセルフケアが必要になります。
広義の四十肩・五十肩
上記のものは典型的なもので狭義の四十肩・五十肩と言えますが、中には何もしなくても四十肩・五十肩がすぐに良くなったと言う人もいます。仮に言うならば広義の四十肩・五十肩でしょうか。
四十肩・五十肩は肩の動きに関係するので筋肉の要素が大きいのですが、筋肉が原因で痛みや動きが悪くなる場合は筋肉が硬くなっている時と筋肉が損傷している時の2つがあり、よほどのことがなければともに数日から症状が軽減し1~2か月で元に戻ります。これは同じ筋肉の問題である腰痛、寝違え、筋肉痛等を考えてみればわかるはずで、肩も首も腰も同じ筋肉なので治り方も一緒なのです。
なので肩関節の捻挫であったり、肩周囲の筋肉が硬くなっていたという筋肉自体の問題であれば1~2か月で元通りになります。
まとめ
典型的な四十肩・五十肩は原因不明の炎症が長引くことにより「じっとしていても痛い」「肩が挙がらない」「肩を動かすと痛い」という症状が時間の経過とともに悪化しているもの。長引く炎症への対処がメインなので病院を中心に通うようにしてください。四十肩・五十肩は長期の炎症により筋肉は元の状態に戻りにくくなっているため、治療を受けたとしても長期間かかるということに注意してください。
炎症が数日で治まり、すぐに肩も少しずつ挙がるような場合は四十肩・五十肩ではなく捻挫の可能性が高いので1~2か月で元の良好な状態に戻ります。