ぎっくり腰(急性腰痛)とは
ぎっくり腰(急性腰痛)は五十肩やテニス肘と同じ俗称であるため定義というものがありません。あえて定義すると動作時に痛みが増強する急性腰痛になるでしょうか。
動作をすると痛いということは動作時に使われる骨や筋肉に問題があるということ。ただしよほど大きな衝撃を受けたり、骨粗鬆症のように骨が薄くなっている場合でなければ骨に問題があるとは考えにくいので通常は筋肉が最大の原因と考えられます。
ぎっくり腰で腰を曲げると痛いのは筋肉が伸ばされるから。これは正常な関節可動域の限界を超えて伸ばされて起きる足関節の捻挫、筋肉が硬くなったために正常な関節可動域が狭まっている時に起きるストレッチの痛み等を想像してもらえればわかると思います。
当院に来院される方は殆どこの上記の定義に当てはまりますが以下のような方は注意が必要です。
- 55歳以上の方
- 20歳未満の方
- 腰痛以外の症状も出ている場合
- じっとしていても動かしても痛さの程度が同じ場合
この場合は筋肉以外が原因の可能性が他の人よりも高くなるため病院に行くようにしてください。
ぎっくり腰の分類
前に曲げると痛い
ぎっくり腰は洗顔時や靴を履くときなど前屈みになった時に起きることが多く、それは硬くなっている筋肉が伸ばされたからです。そのため腰を前に曲げる時に痛い場合はその時に伸ばされた筋肉が原因と考えられます。
ところが腰を前に曲げるという動作で曲がるのは腰だけではありません。股関節も曲がります。腰を前に曲げるのと股関節を前に曲げるのでは伸ばされる筋肉が異なるので、腰が原因なのか股関節が原因なのかを分類する必要があります。
股関節を曲げると痛い
股関節だけを前に曲げる動作としてはお辞儀があります。お辞儀をする時に腰も一緒に曲げてしまうとだらしなく見えるので普通は背筋を伸ばして腰の部分は曲がりません。
股関節は骨盤と大腿部の連結部分なので、股関節を曲げるということは骨盤から大腿後側につながっている殿筋やハムストリング等の筋肉が伸ばされるということ。硬くなっている筋肉は伸ばされると痛みを起こすので、股関節を曲げた時に痛みが出るのであればまずは殿筋が疑われます。
椅子等に座る時にも痛みを感じることがあります。これは立っている状態では真っすぐであった股関節がが座る時には曲がるため殿部の筋肉が伸ばされるからです。
腰部を曲げると痛い
立位で真っ直ぐな状態から腰だけを曲げる、もしくは猫背のようなポーズをとってみます。この時に痛みが出るようであれば腰部の筋肉が疑われます。ここで言う腰部の筋肉とは腰より上にあって最終的に骨盤の上部に付く脊柱起立筋、腰方形筋、広背筋や、腰椎間にある多裂筋等の人体の背面にある筋肉です。背面の筋肉が硬くなると腰を前に曲げた時にその背面の筋肉は伸ばされて痛みを生じます。これらの筋肉は上半身から骨盤の上部についているものなので腰部の曲がりには関係しますが、それより下にある股関節には直接関係しません。
これとは別に大腰筋と言う筋肉があります。この筋肉は腰椎から大腿部に付いているため腰痛だけでなく股関節の問題にも関係します。具体的に言うとどの方向に曲げても痛みがあったり、立位時、坐位時、歩行時、靴下やズボンを履く時、椅子から立ち上がる時等の痛みを伴うことが多いのです。
腰が伸びない(後ろに反ると痛い)
ぎっくり腰のメインの症状は前かがみでの痛み。では後ろに反らす痛みはどうなのかと言うと付属の症状としてはありますがメインの症状として来院される方は今までほとんど見た覚えはありません。その代わりに腰が丸まった状態で真っすぐに伸びないというぎっくり腰があります。
「腰が伸びないぎっくり腰」は椅子から立ち上がる時に発症することが多く、身体が少し丸まった状態で来院されます。「椅子に座っている時は腰は痛くはない」「仰向けが辛い」という特徴もあるのですが、一番の訴えは腰の痛みよりも「腰が伸びない」で元の真っすぐな状態に戻れないということ。「腰が伸びない」のは腰部のインナーマッスルである大腰筋が縮んでしまったためであることが多く、この筋肉を緩めることによって丸まった状態を軽減させることが可能となります。治療により腰が伸びることが多いのですが(痛みは残る)、痛みが気にならなくなる迄には1~2週間かかるかもしれません。
原因
ぎっくり腰の原因で重要なのはそれまでにぎっくり腰になる下地が整っていたということで、重いものを持って痛くなった」「下の物を拾おうとして痛くなった」というのは駄目押しに過ぎません。特に筋肉の使いすぎによる疲労とストレスの影響が大きく関係します。
筋肉の疲労
筋肉は使いすぎると疲労により硬くなって痛みを生じますが、その中でも「骨盤後傾と猫背のセットで座っていること」が最も大きな原因と考えています。特に気が付くと何時間も経過しているパソコン等の事務仕事はずっとそのような姿勢を続けているので硬くなりやすいのです。
ストレスによる全身の影響
ストレスや体調不良等で自律神経が乱れると様々な症状が出ますが、全身の筋肉が硬くなるのもその一つ。筋肉が硬い状態が続けばそのうちに一番弱っている部分(使いすぎている部分)から痛みを発します。
治療法
当院の治療は保険治療か整体治療か鍼灸気功治療の3つの中から患者さんの希望するものをおこないます。ぎっくり腰は数日間が痛みが強くてそれ以降は軽減していくというように経過がある程度明確です。経過が明確であれば例えば最初の1週間は毎日通って2週目は1~2日おきにしてというように治療計画が立てやすくなります。風邪をひいたら毎日薬を飲むのと同じでぎっくり腰も毎日治療した方が良いので詰めて通えるのであれば保険治療の方が向いています。
ただし保険治療には重大な欠点があります。ぎっくり腰は「腰の筋肉の使い過ぎ」と「ストレスによる全身の問題」の両方が重なって起きるため、ストレスが強い場合は腰にしか治療ができない保険ではあまり効果が出ないことも。
そのような場合はどうしても全身を見ていく自費治療が必要になります。
忙しくて間隔を詰めて通えない人は全身の影響を考慮している整体治療か鍼灸気功治療が良いでしょう。症状がぎっくり腰単独であれば整体治療、ぎっくり腰以外にも複数の症状が以前からある人は鍼灸気功治療が向いてます。頻繁にぎっくり腰になっている、保険治療で効果が見られない、整形外科や他の接骨院・整骨院で治療を受けている人も同様です。
完全予約制
ぎっくり腰では待合室での待ち時間は非常につらいものがあります。自宅であれば痛いなりに動いたり寝転がったりできますが待合室では人の目もあってそれもできません。その点当院では完全予約制なので待つことなくすぐに治療を受けることが出来るというメリットがあります。