治療後に悪化する
治療後に悪化しましたと言われることがたまにあります。慢性疾患よりも圧倒的に急性疾患に見られるのは初期症状が安定しないためと考えられます。
- 治療する側の問題
- 治療される側の問題
- 発症後の経過の問題 の3つが考えられます。
治療する側の問題
治療する側の問題としては刺激が強すぎる、痛みのある姿勢を続けさせる、治療時間が長い等が挙げられます。
治療される側の問題
治療される側の問題として急性期なのに温めてしまう、無理して身体を動かしてしまう、生活習慣の改善をしていない等が挙げられます。
発症後の経過の問題
ぎっくり腰でも寝違えでも足の捻挫でもの発症後の経過は同じです。
- 発症して痛みがだんだん強くなる
- 痛みがピークになる
- 痛みが軽減する
というように登山と同じような経過を辿ります。この中で治療をしてもしなくても悪化する可能性があるのは「発症して痛みがだんだん強くなる」状態の時です。これは何故かというと炎症が起きているから。
炎症と言うのは壊れた部分をどかして新たに修復するために起きるものなのでどうしても必要なものなのです。もし炎症がなかったら壊れた部分は修復されません。なので治療したその後も痛みが強くなることもあるのです。
ではこの時は治療するのは無意味なのでしょうか?例えば火事が起きたとします。燃え始めたばかりだから水をかけても無駄なので下火になってから水をかけようとは思わないですよね。火の勢いが強いのでわかりにくいだけで水をかければ効果はあります。そして延焼を止めなければいけません。
更に炎症による痛みではない場合もあります。筋肉が硬くなることによって起きているものであれば筋肉が緩めば痛みはその場で軽減していきます。
ぎっくり腰は全身の影響を受けて発症します。端的に言うと自律神経の乱れがあるのでここで治療に入らなければよそに飛び火する可能性も捨てきれません。そのため「発症して痛みがだんだん強くなる」の時でも自律神経の乱れを正すために治療するのは意味があるのです。
もう一つ。例えば「発症して痛みがだんだん強くなる」時に薬を飲みました。その後に悪化した場合に何て考えますか?恐らく「薬が効かなかった」と考えますよね。「薬のせいで悪化した」とは考えません。
ところが接骨院で治療を受けた後悪化すると治療のせいだと思われることが多いのです。こちら側としては「発症して痛みがだんだん強くなる」時は例え治療をしても悪化するのは想定の範囲内なのです。鍼灸では「瞑眩」といって好転反応とされています。
ぎっくり腰や寝違えのような痛くなり始めの疾患で治療を受ける時は先ほどの1~3のうちのどの状態にあるかを確認しておくと良いと思います。もし1の状態であるならば治療後に悪化する可能性も念頭に入れておいてください。