当院の電気療法
はじめに
痛みは1つの出来事で起きるわけではなく、身体が傷ついても、筋肉が硬くなっても、血行が悪くなっても、神経の興奮でも、精神的なストレス等でも起きます。そのため鎮痛薬を飲んだとしてもその人の痛みの原因と薬の効能が合わなければ効きません。
当院では薬は使えませんが、その代わりに痛みを抑える方法として手技療法、電気療法、温熱療法があります。ここでは電気療法についてのメリットデメリット書いてみたいと思います。
当院の電気治療器の働き
当院にある電気治療器は筋肉を緩める働き、筋肉を修復する働き、自律神経を調整する働きの3つの働きがあり、その結果として痛みを改善していきます。
筋肉を緩める働き
機序
当院で対応している疾患の多くは筋肉が痛みに直結しているため筋肉を緩めるというのが基本。当院で使用している中周波治療とハイボルテージ治療では電気刺激によって筋肉をマッサージして血行を良くする働きがあります。
痛みを起こす機序の一つに「筋肉が硬くなる→血管が押し潰されて細くなる→血行不良→痛み」という流れがあり、それに対してこれらの電気治療をおこなうと「筋肉が緩む→筋肉に圧迫されていた血管が正常な太さに戻る→血流回復→痛み解消」となります。
対象疾患としては筋肉が硬くなっているのが原因である可能性が高い慢性腰痛や緊張型頭痛、手足の痺れ等になります。電気刺激によって強制的に動かすため筋肉が傷ついている場合は傷口を広げる可能性があるので避けた方が無難です(肉離れ等)。
ぎっくり腰や寝違え等の急性期の筋肉系の疾患の場合も強引に電気刺激で筋肉を動かしてしまうのでこれも避けたほうが無難です。
筋肉の修復の働き
機序
筋肉を緩める治療器は電気刺激で筋肉を無理に動かすため、慢性的に筋肉が硬くなっている場合は良いのですが、筋肉が傷ついている場合や筋肉が硬くなり始めた時は悪化する可能性があります。そのような場合は筋肉を動かすことのない微弱電流(マイクロカレント)が有効です。
細胞には生体電流という微弱な電流が流れていますが、細胞が弱ったり損傷が起きると生体電流は乱れ、その乱れた生体電流を元に戻すために損傷電流というものが発生します。その時に外部からも損傷電流と同じような電流を補ってあげればより早く回復するのではないかということで使われたのが微弱電流です。
名前の通りに筋肉が反応しないほどの微弱な電流であるため、筋肉に気付かれずに細胞まで入り込むことができるのが特徴です。
筋肉が傷ついた場合の修復にも使えますし、痛みを取ることもできるため接骨院で扱う疾患にはほぼ対応できます。欠点は微弱な電流なので何も感じずやってもらった感がないことでしょうか。
自律神経を調整する働き
痛みというのは筋肉だけが原因ではなく様々なものが関係しています。そのため上記の筋肉系治療器以外のものも必要になります。
SSP治療器(Silver Spike Point)
SSPは東洋医学的な考え方から発生しました。経絡の経穴(ツボ)にSSPを当てるのが基本なので「刺さない鍼」とも言われ、鎮痛の効果があります。
経穴(ツボ)→神経→脳という流れを利用して脳内から鎮痛物質を分泌させて痛みを抑えていくのですが、これは全身に関係しますのでストレス系の痛みにも有効です。痛いとことをさすると楽になるとか、犬や猫をなでるとリラックスして副交感神経が優位になるとか、そういうのと似ています。
筋肉を緩める系の治療器は筋肉を無理やりマッサージするのでぎっくり腰等の急性期は避けた方が良いのですがSSPはそのようなことはないので急性期も使えます。
MCC(全身調整微弱電流療法)
簡単に言うと手足の四箇所に装置をつけて微弱電流を流す治療法です。
病気というのは「生活習慣→ストレス→自律神経の乱れ→様々な症状」という流れが関与するのでMCCを行うことによって自律神経を調整し体調を正常に戻すことができます。
中周波やハイボルテージはストレッチのように一部の筋肉を直接緩める方法のため腰痛等のように局所の痛みに対応するのがメインですが、こちらは自律神経のバランスをとることによってリラックスさせ全身の筋肉を緩めるというものなので局所の痛みだけでなく全身の予防やコンディショニングとしても使えます。