治療後に悪化することも
治療後に悪化しましたと言われることがたまにあります。慢性疾患ではあまりなくて急性疾患に見られるのは初期症状が安定しないためと考えられます。
ぎっくり腰や寝違い等の急性疾患の治療後悪化する場合は1治療する側の問題 2治療される側の問題 3発症後の経過の問題の3つが考えられます。前の2つは説明不要だと思いますので発症後の経過の問題だけ説明します。
ぎっくり腰の発症後の経過は最初は①発症して痛みがだんだん強くなる ②痛みがピークになる ③痛みが軽減するというように登山と同じような経過を辿ります。この中で治療をしてもしなくても悪化する可能性があるのは「発症して痛みがだんだん強くなる」状態の時です。当院でもたまに言われるのが「治療後の夜中に悪化して眠れなかったけれど朝には楽になった」ということ。
ではこの時は治療するのは無意味なのでしょうか?例えば火事が起きたとします。燃え始めたばかりだから水をかけても無駄なので下火になってから水をかけようとは思わないですよね。火の勢いが強いのでわかりにくいだけで水をかければ効果はあります。そして延焼を止めなければいけません。
ぎっくり腰は全身の影響を受けて発症します。端的に言うと自律神経の乱れがあるのでここで治療に入らなければよそに飛び火する可能性も捨てきれません。そのため「発症して痛みがだんだん強くなる」の時でも自律神経の乱れを正すために治療するのは意味があるのです。
もう一つ。例えば「発症して痛みがだんだん強くなる」の時に薬を飲みました。その後に悪化した場合に何て考えますか?恐らく「薬が効かなかった」と考えますよね。「薬のせいで悪化した」とは考えません。ところが接骨院で治療を受けた後悪化すると治療のせいだと思われることが多いのです。こちら側としては「発症して痛みがだんだん強くなる」時は例え治療をしても悪化するのは想定の範囲内なのです。鍼灸では「瞑眩」といって好転反応とされています。
ぎっくり腰や寝違えのような痛くなり始めの疾患で治療を受ける時は先ほどの①~③のうちのどの状態にあるかを確認しておくと良いと思います。もし①の状態であるならば治療後に悪化する可能性も念頭に入れておいてください。